耕作放棄地って何?

●増える"荒れていく農地"

3年ほどの耕作放棄地

耕作放棄地とは農林水産省によると「以前耕地であったもので、過去1年以上作物を栽培せず、しかもこの数年の間に再び耕作する考えのない土地」のことです。
つまり、今後も荒れていくだろうと思われる農地ということになります。

屋久島は気候条件に恵まれ、育成環境が良く、雑草や雑木、ツタなどの生育が早いのが特徴です。
耕作をやめてから荒地になるまでのスピードが早く、1年で農園が『やぶ化』してしまいます。

●耕作放棄地が増える原因

「耕作放棄地」が出来る原因は「農家の減少」と「農家の高齢化」です。

・農業経営だけでは生活がなかなか成り立たないということと、体力を使う仕事はキツイという理由で農家の子供であっても農業を継がないケースが多いという事。

・同じ理由で農家自身が子供に農業を継がせないケースがあるということ。

・新たに農業を始めるにはそれなりに土地や資金などの準備が必要で農家以外が農業をはじめるのは難しい面があるということ。

などが問題点としてあげられます。
これらの問題点を解消しようと国や自治体も乗り出していますが根本的な解決には至っていません。
最近TPPなどが農業問題としてクローズアップされていますが、本当の問題は"TPPに参加していない状態"でも「農業では生活がなかなか成り立たない」「農業の衰退に歯止めがかからない」ことなのだと思います。

屋久島における耕作放棄地の4つの問題

●病気の発生

病気で枯れてしまった「たんかん」の枝

屋久島は耕作されている農地の大部分が「ぽんかん」「たんかん」の果樹園です。
特に「たんかん」はその性質上非常にデリケートな果樹のため、病気に弱いです。

屋久島は気候条件からそれらの栽培には非常に向いていますが、 反面、高温多湿・雨が多いという面からバクテリアや微生物の繁殖においても好条件になります。 本土では柑橘がかかりにくいといわれている病気でも大量発生してしまうのはそのためです。

ましてや、管理されていない果樹は病気のキャリアになる可能性が非常に高く、周囲の農園にもその被害が及ぶケースが増えています

●害虫の発生

害虫に侵食されたたんかんの木

屋久島は生命の島といわれ、多様な植物があることは「世界自然遺産」登録からもよく知られています。
同じように、多様な生物も生息しています。それは、主に「虫」類です。

特に果樹園が多い屋久島では果樹の害虫も多く生息しています。
上記の「病気の発生」と同じように、繁殖に適しているのが原因です。

これについても、耕作放棄地は害虫の巣となってしまい、周囲の果樹園などに被害が及ぶケースが増えています

●農村地域の活力低下

耕作放棄地の最大の問題点です。
農家は高齢化しています。体力的にも負担が大きくなってきます。そこで大切なのはモチベーションとなります

耕作放棄地が増えると「隣の園も荒地になった。」「知り合いの園も荒地になった。」とネガティブな情報ばかりが農家の間に流れることになり、 農業を継続する意識の低下につながります。

農村地域は農業が盛んであってこそ、活力を生むものです。その力が無くなると、閑散とした地域になってしまいます。

●景観に対する影響

屋久島はもともと観光地でしたが、「世界自然遺産」登録後その傾向が顕著になり、非常に多くのお客様に来ていただいています。

最近は登山やトラッキングをはじめとする「自然と触れ合う」機会を求めて訪れる方が多いのが特徴です。
屋久島の農地は山あいにあることが多く、観光客が通る道に面しているところも少なくありません。

しかし、その過程で観光客が目にするのは「自然林」でも「管理された農園」でもなく、「荒廃した農園」になります。
これは、観光客にとっても屋久島にとっても大きな不幸であると思われます。